特別記事
ELFFAN WEB vol.09
第57回市村産業賞 貢献賞の受賞

物流業界の問題解決に絶え間なく挑んできたいすゞ自動車。2025年に初めて小型トラック向けデュアルクラッチ式9速AMT「ISIM」が第57回市村産業賞の貢献賞を受賞しました。産業分野の発展に貢献しうる開発に至った経緯や「ISIM」の性能、効果についてご紹介します。
市村産業賞の貢献賞を受賞した「ISIM」
小型トラック向けデュアルクラッチ式9速AMT「ISIM(アイシム)」が、公益財団法人市村清新技術財団が主催する第57回市村産業賞において貢献賞を受賞しました。いすゞ自動車にとって今回が初めての受賞です。市村産業賞とは、優れた技術を開発し、日本国内の産業分野の発展に貢献した技術開発者に贈呈される威厳のある技術賞のひとつ。4月18日(金)には、帝国ホテル東京で贈呈式が開催されました。
「ISIM」とはIsuzu Smooth Intelligent TransMission の頭文字をとった造語。“シームレスでスムース”“俊敏・知的”といった、いすゞが独自開発したトランスミッションの特徴を表現しています。
■受賞テーマ
省燃費と運転負担軽減に資する小型商用車用トランスミッション
■受賞者
金子直弘(かねこ なおひろ)
岡本壮史(おかもと たけふみ)
明石浩平(あかし こうへい)

2つの課題解決のために「ISIM」を開発!
「ISIM」の開発に至った経緯は大きく分けて2つあります。あらゆる産業の分野で頭を悩ませている課題に着目し、貢献することができる技術を開発しました。
【課題①】商用車のCO₂排出量の多さ
脱炭素社会の実現に向けて多くの国や企業が動きを加速させる中、商用車はCO₂の排出の多くを占めています。EV(電気自動車)の開発・提供も進んでいますが、全ての商用車をEVに変えるには航続距離、車両重量、車両価格などの課題から多くの時間が必要。今すぐにできることはCO₂の排出を抑えることです。そこで、従来以上に省燃費でエネルギーロスの少ないパワートレインを搭載した製品の開発に取り組みました。
【課題②】ドライバー不足と輸送リソースの減少
昨今のインターネット販売の市場規模が拡大したことで物量が大幅に増えてしまったため、物流業界では深刻なドライバー不足に直面しています。また、2024年4月よりドライバーの時間外労働に上限規制が適用されました。輸送できる量が減り、時間がかかるなど輸送能力の低下が課題になっています。「ISIM」はより運転しやすく疲れを軽減できる性能を持ち、AMTとしてAT限定運転免許にも対応。労働環境の改善や幅広い人材の確保につながる技術になると考えました。
省燃費と運転負担軽減に貢献する「ISIM」の2つのPOINT
ELFにはAMTとして9速デュアルクラッチトランスミッション「ISIM」を設定しています。一般的な6速トランスミッションと同じ歯車列数で9速に段階を増やしたことで、ギヤ比をよりワイドレンジ・クロスレシオ化。多段化できたことに加え、従来の6速トランスミッションに比べて全長を17mm短縮し、8kgの軽量化も達成しています。省燃費と運転負担軽減を叶える「ISIM」の性能を2つのポイントからチェックしてみてください。

【POINT①】変速時のタイムラグやトルク抜けを抑える「ドライブフィーリング」
1つのトランスミッションに2つのクラッチを有し、奇数段(1/3/5/7/9速)、偶数段(2/4/6/8速)を分担する構造を独自開発。2つのクラッチを交互につなぎ変えるデュアルクラッチとクロスレシオの組み合わせにより、変速時のトルク抜けが起こることなく適切な駆動力が得られます。これまでの小型トラックにはない運転のしやすさを実現しました。

【POINT②】燃費のバラツキを低減する「省燃費自動変速」
ISIMは状況に応じて適切なギアを自動選択するため、ベテランから新人まで幅広いドライバーの運転技量による燃費に大きな差が出にくく、だれでも省燃費運転が簡単になりました。エンジン回転上昇を抑えた早めの自動変速で、燃料消費を抑制します。さらに、省燃費運転に必要な変速を、コンピュータが運転状況に応じて自動制御するECONOモードを搭載。AT限定運転免許しか持っていない方でも簡単に運転ができる商用車として多くのシーンで使用できます。

将来の国内産業に寄与する「ISIM」
ELFには「ISIM」が搭載され、CO2排出量を削減するとともに、イージードライブ性能向上によりドライバーの疲労を軽減できます。そして労働環境の改善によってドライバー不足の解消にもつながるこの技術。環境とドライバーに配慮した「ISIM」は今後も日本の産業分野に貢献する技術として活躍していくはずです。
▼「ISIM(アイシム)」 公式動画はこちら